鹿児島に戻り、陶芸家として独立して最初に作ったのは、白磁のテーブルウェアでした。 型から抜いた素地は外で乾かすんですが、その時に桜島の火山灰が降ると、焼いた際、表面に黒いポツポツが表れてしまうんです。 そんな白磁の大敵である火山灰を釉薬にしてみようと、ある日思い立ちます。 早速、降り積もった灰をホウキで集め、ビニールに詰めて工房に持ち帰りました。 ベースにしたのは、黒や茶色に発色する鉄釉と呼ばれるベーシックな釉薬。 加える火山灰の量や焼く時の温度などを納得がいくまで、色々と試しました。 ASHシリーズにはこの火山灰の釉薬が使われています。スレートグレーに発色した鉄釉の中で、星のように散らばる金属質の煌めく釉薬。 焼く際に内と外との釉薬と干渉し合ったり、窯の中に置く位置によって、個々に色味が変わるのは、工芸的な面白さ。自分好みの風合いを見付けるのも、楽しみの一つです。
桜島の火山灰
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DATE
Sept 29, 2021
LATEST JOURNAL
降灰と掘採
高校卒業後、私は鹿児島から東京のデザイン専門学校に進学しました。高校時代、バスケットボールに夢中だった私は、早くからデザインや美術の基礎を積んだ友人たちに圧倒され、毎日の授業についていくのに必死でした。色濃い学生時代はあっという間で、最終学年の卒業制作では家具デザインを専攻することにしました。
Reproduction
この試みは2023年の年末、ash Design & Craft Fairの繁忙期に静かに幕を開けました。その時期に、私たちの取り組みを象徴していると感じた、ある夢の話をInstagramに投稿しました。当時の臨場感をそのままに、投稿内容をご紹介します。
Jincup
自分の周辺5mを豊かにすることをみんながやれば、必然的に世界中が豊かになるという話を聞いたことがある。僕が陶芸を始めたきっかけは、「自分らしさを見つけたい。」「誰もみたことのない形を作りたい。」といった自己表現のためだった。
Shuo Iwakiri
陶芸というと、人里離れて、ひとり黙々と勤しむものというようなイメージをされがちだが、「ONE KILN」は、鹿児島市の繁華街から車で10分ほどの住宅街にある。僕が陶芸を志したのは24歳の頃、気になる作家に電話をしてみたり、京都の職業訓練校を受けたり、ジタバタと動いたけれど全滅。その未来に閉塞感を感じた。